【特別号外】2018年後半のパチンコ営業を考える

スペシャル特集

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昨年夏に「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」の改正が発表されて以降、旧規則下で申請されたパチンコ機がなかなか適合しづらい状況が続いていましたが、2月に入ると適合率が上がり、3月の適合率は68.3%にまで達しました。
旧基準最後の申請だったこともあり、この中には、出玉2400個の大当たりや高性能のSUPER小当たりRUSH、役物抽選などで右打ち中の出玉性能を最大限に高めた機種も多く、2018年後半は、これら高出玉タイプが集客や売上に大きく貢献していくでしょう。
とは言え、既に発表されている新機種を見るだけでも、確変突入率や継続率、16R比率、小当たりRUSHの性能に大きな違いがあり、実際に導入された際には、機種毎に異なるメリハリや出玉推移を生み出すと予測されます。
そこで、これから導入を予定している高出玉タイプについては、基本仕様、TY、MYなど、スペックの各種数値を予め把握し、自店に通っているユーザーにどの様なタイプが受け入れられるかを精査していく必要があります。

◆高出玉タイプの特性
継続率の上限が65%へと設定された現在の高出玉タイプの特徴を踏まえると、概ね以下の4系統に分けることができます。

① 出玉特化型:確変中の出玉の爆発力に優れたもの。
② 安定型:確変突入への間口が広いもの。
③ バランス型:確変突入への間口がそれなりに広く、かつ確変突入時には大きめの出玉を獲得できるもの。
④ 救済型:初回大当たり出玉約1000個、時短100回転などで、非確変大当たり時や確変終了後のケアに配慮されたもの。

ただ、スペック設計にあたっては、「勝ちを意識できるか」「出玉をきちんと獲得できるか」といったユーザーの視点だけでなく、「ストレスにならない程度のスタートを確保できるか(=回せるか)」「期待通りの粗利を生み出せるか」など、実際に運用するホール目線での「扱いやすさ」も求められるため、①~④の特性を全て組み合わせることが難しく、実際に市場へと投入する際には、いずれかの長所を引き伸ばすために他の特性を削る仕様へと仕上げざるを得ません。
つまり、上の①~④の指標のうち、それぞれの機種がどの部分を重視し、逆にどの部分を削ぎ落としたかを検証していくことが、スペックの特徴と自店ユーザーとのマッチングを見極める有効な手段と言えます。

◆主要機種の特性
ここからは、主要機種や話題機種をいくつかピックアップし、スペックのほか、1回のRUSH突入につき、どれ位の割合で5000個や10000個以上の出玉に到達するかを示す「5000/10000個出玉OVER率」という概念に基づき、各機種の特性を検証していきたいと思います。

上表によると、3機種とも「10000個出玉OVER率」は約12%とほぼ同数値となり、約9~10台設置していれば少なくとも1台で10000個以上の出玉がほぼ発生するという一撃性を備えていることが分かります。ただ、「5000個出玉OVER率」に着目すると、「カイジ~」が約25%と他の2機種より下回り、5000個前後の中間出玉をコンスタントに生み出すことが難しいことが窺えます。初回大当たり時に約1300個の出玉が保障されていますが、②安定型、③バランス型、④救済型に繋がる要素がほぼ削ぎ落とされており、「カイジ~」は「①出玉特化型」の中でも、「見せ台」として、出玉の爆発力を局地的にアピールする際に適したタイプと言えるでしょう。主にパチスロのAT・ART機も遊技する若年~中年ユーザーがハイリスク・ハイリターンの勝負を求めて遊技することが想定されます。

これに対し、「北斗7転生」と「ウルトラセブン2」では、「5000個出玉OVER率」が30%を越え、突出した出玉と中間出玉の双方を生み出すことが可能です。これは「①出玉特化型」と「③バランス型」の特性を併せ持ち、より多くのユーザーに出玉の満足感、つまり「勝ち体験」を提供できることを示しております。特に継続率の上限が65%となる現行機の平均大当たり回数は2.86回と、3回にも満たない点を踏まえれば、中間出玉の重要性はマックスタイプ時代よりも増しており、「2~3連荘でも5000個前後の出玉が獲得できる」点はユーザーの「次も勝負できる」という安心感や継続的な遊技意向へと繋がることでしょう。
また、「北斗7転生」「ウルトラセブン2」共にRUSH突入率は現行機最高水準となる65%とし、②安定型の特性も備えております。昨年4月の登場以降、「北斗7転生」が主軸機として稼働や売上に貢献してきた経緯を踏まえれば、現在のヘビーユーザー層は、高出玉タイプに対し、10000個以上の突出した出玉を生み出せるポテンシャルと5000個前後の出玉をコンスタントに獲得できる確実性、RUSH突入への安定性を求めているかもしれません
さらに「~ウルトラセブン2」においては、「北斗7転生」では実現できなかった「初回通常大当たり後の100回転時短」も搭載しました。まさに本機種は、昨年ヒットした「北斗7転生」が持つ3つの指標「①出玉特化型」「②安定型」「③バランス型」に加え、4つ目の指標である「④救済型」を高い次元で融合させた、数少ない仕様と捉えることができます。

「~ウルトラセブン2」では、コンテンツの特性上、50代以上の中高年ユーザーの遊技も想定されます。中高年ユーザーの場合、遊技に際し、単なる「勝ち負け」ではなく、「遊んだ」感覚も求めるため、出玉の爆発力を生み出すべく投機性を高めた仕様では、遊技そのものを敬遠されてしまう恐れがあります。その意味では、中高年層の遊技にも耐用できる様、トータルバランスに考慮されたスペックであり、SUPER小当たりRUSHよりも16R大当たりにウエイトを置いたRUSH中の仕様も獲得出玉の安定性を重視したためかもしれません。

◆「ウルトラセブン2」の運用予測~ユーザー側とホール側のメリットの両立に向けて
ここ数年、パチンコ営業において、「粗利」に対する意識が高まり、高出玉タイプにおいても、「瞬間的な差玉を生み出せる代わりに、出率そのものは低い」仕様が増えてきました。ただ、ホール側のメリットを重視し過ぎた余り、ユーザー側のメリットが削がれ、「粗利はきちんと確保できるものの、稼働が持続しない」現状を招いていることも事実です。
この様な中、「~ウルトラセブン2」は中高年層を含めたユーザー側のメリットとホール側のメリットのバランスに配慮し、粗利確保と稼働の持続性の両立を目指したスペックとしています。ユーザー側のメリットという観点から、他機種と比較して「スタートが低い」「出率が高い」といった不安がどうしても生じてしまうかもしれませんが、昨年秋に登場した「CR魔法少女まどかマギカ」と同レベルのスタートを確保できる設計が施されているようです。ある意味、ユーザーに大きな負担を強いることなく、一定の粗利を確保することができると予測され、稼働を伴いながら、他機種と同水準の粗利や売上へと到達させていくことは可能と言えます。

今後も高出玉を特徴とした機種が続々と登場しますが、コンテンツ力、販売台数規模などを踏まえれば、今年の夏期・盆商戦においては、「CRぱちんこウルトラセブン2」が集客・売上の軸になることは確かです。本機種は、一部のユーザーに大勝ちさせるだけでなく、多くのユーザーに中レベルの出玉感を満遍なく印象付けるメリットを持ち合わせており、そこから、ヘビーユーザー層全般のさらなる遊技意欲を高めることができるでしょう。
若年から中高年までの幅広い世代に訴求できるというコンテンツのメリットも活かしつつ、全方位型の高射幸性タイプとして活用していくことが望まれます。

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※ 当サイトで使用しているホールや機械の画像はすべて許可を取り撮影し、掲載しております。

この記事の著者

石野 晃
株式会社 矢野経済研究所
サービス産業事業部 上級研究員
2000年、(株)矢野経済研究所に入社。翌年より会員向け情報誌「パチンコパチスロ新機種情報」の編集業務に携わり、パチンコを中心とした機種分析を本格的開始。以降、アンケート調査業務や遊技機メーカーへの開発支援業務などを通じ、業界に様々な意見を進言している。
株式会社 矢野経済研究所
石野 晃
株式会社 矢野経済研究所
サービス産業事業部 上級研究員
2000年、(株)矢野経済研究所に入社。翌年より会員向け情報誌「パチンコパチスロ新機種情報」の編集業務に携わり、パチンコを中心とした機種分析を本格的開始。以降、アンケート調査業務や遊技機メーカーへの開発支援業務などを通じ、業界に様々な意見を進言している。
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