「同一タイトルで類似スペックが次々と登場」~選定のポイントとは?

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これまでパチンコでは、遊技規則や内規が変更された際、どの様なスペックがユーザーに受け入れられるのか、実際の営業でどれ位売上や稼働に貢献するかなどを検証する意味も込め、同一タイトルで複数のスペックを同時発売することがしばしば行なわれてきました。かつての「マックス+ミドル+ライトミドル」といった組み合わせの様に、大当たり確率や射幸性レベルが明確に異なるスペックであれば特に問題ないのですが、この場合は大抵、「ミドル」「ライトミドル」といった同一のスペックジャンルの中で、大当たり確率や継続率などの数値、もしくは仕様が微妙に異なる組み合わせが多く、スペック選定に非常に苦慮していたかと思われます。

 

規則改正から1年が経過し、新規則機のリリースが本格化する中、これらと同様のことが現在起こり始めています。

特に新規則機がホールに投入されてから間もない段階で継続率の上限が撤廃されたことを受け、今後、「設定機能ありorなし」「継続率65%以下orオーバー」で組み合わせの異なるスペックが混在していく可能性があり、「どちらのスペックを多く導入すべきか、或いは併設すべきか」という導入の判断が付きかねることも起こり得るでしょう。

 

今回は、同一のスペックジャンルで2種類の型式が同時発売された新機種「Pヱヴァンゲリヲン~超覚醒/超暴走~(ビスティ)」と「PRewriteFA/FB(西陣)」を例に挙げ、スペック選定のポイントを考えていきたいと思います。

 

◆「Pヱヴァンゲリヲン~超覚醒/超暴走~」編

それぞれのスペックを見ると、「~超覚醒」では「設定機能+SUPER小当たりRUSH付き」、「~超暴走」では「高継続率」が特徴として挙げられます。

「~超暴走」の継続率は84.6%に達し、継続率65%の旧ライトミドルを明らかに上回る連荘を安定的に生み出すことが予測されますが、その一方で、特図2の10R比率を50%とすることによって、連荘中の獲得出玉もある程度担保しており、ライトミドルの新規則機でありながら、旧基準機の様な連荘や出玉をアピールすることが可能かと思われます。

また、「設定なし」という部分では、設定機能に対する知識差などで遊技の平等性が損なわれることもなく、従来のヱヴァンゲリヲンシリーズと同様、若年~中高年層を広く集客していくことが期待できます。

このスペック面でのメリハリの強さと「ヱヴァンゲリヲン」というコンテンツ力の高さを相関させれば、「~超暴走」の場合、多台数の導入と幅広いユーザーへの訴求で初期集客力を最大限に高め、短期間で粗利と売上を確保するという旧基準の話題機の様な運用に適した面が窺えます。

これまでの「ヱヴァンゲリヲン」シリーズにおいて、メインタイトル導入時の初動が良好な店舗では、「~超暴走」をメインで活用した方が良いかもしれません。

 

一方、「~超覚醒」については、SUPER小当たりRUSHと10R大当たりの連鎖により、大きな出玉の塊を生み出すポテンシャルを秘めていますが、SUPER小当たりRUSHで獲得できる出玉には依然浮動性が強く、「~超暴走」の様な大きな出玉や連荘を安定的に構築できるとは言えません。

こう考えると、「~超覚醒」でユーザーにアピールできるポイントは設定機能、特にエキストラと位置づけられる設定⑥の出率に集約され、いわゆる“高設定狙い”の遊技スタイルを確立していく必要があります。ただ、「~超覚醒」については、擬似「小役カウンター」を始め、設定示唆要素が充実しており、恐らくパチスロ版の遊技経験を持つ若年パチスロユーザー、及び設定示唆要素に関する情報を積極的に入手するコアなパチンコユーザーが設定推測を行ないながら、断続的に追い掛けていくことが期待できます。

つまり、「~超覚醒」においては、上述した特定ユーザーを設定示唆で固定化し、稼働期間や運用期間の長期化を狙っていく運用に適した面が窺えます。「~超暴走」の様に短期間で多人数を訴求していくことは難しいのですが、その代わりに設定機能を活かせる必要最低限の台数さえ揃えていれば、スペックのメリットを発揮できるという運用面での扱いやすさを持ち合わせており、どちらか言えば、パチスロユーザーの流入が見込める店舗もしくは後発されるスペックバージョン機の人気や稼働が安定している店舗に向いているでしょう。

 

◆「PRewrite」編

それぞれのスペックを見ると、「~FB」は、電チューで100回転時短の付く大当たり比率を11%とし、数多くの大当たりを体感できる点、「~FA」は1回あたりの大当たり最大出玉を約1000個とし、出玉期待度をより高めた点が特徴と言えます。ただ、いずれも1種2種混合タイプを採用しているため、両者の違いは大当たり確率や出玉といった数値面が主体となり、仕様の違いを明確に打ち出すことは困難です。

従って、本タイトルについては、コンテンツや演出、想定される遊技客層といったスペック以外の部分にも注目し、自店にマッチしたスペックを選定していかなければなりません。このコンテンツや演出に言及すると、作品を知る少数のファン層が「演出や映像を見て楽しむ」ことで高い満足感を享受できる性質を持ち合わせ、少台数設置であっても、作品ファンの演出や映像へのニーズを満たせば、根強い支持を獲得できる可能性があります。

これらのことから、本タイトルの場合、作品を知るファン層をどれ位自店に集客できるかがスペック選定の大きなポイントとなり、作品ファンの来店が見込める店舗では、少ない投資で遊べる「~FB」を投入して息の長い機種へと育成する、これに該当しない店舗では、出玉感を打ち出せる「~FA」を投入して若年パチンコユーザーを広く集客するといった運用を視野に入れた方が良いでしょう。

 

ここまで2タイトルを例に挙げ、スペック選定のポイントを考察してきましたが、やはり、複数の類似スペックの中から1つを選ぶ際、導入したスペックに対して集客、稼働、売上、粗利のいずれの分野で高い貢献を期待するかという営業的側面だけでなく、コンテンツから想定される遊技客層、自店客層と機種の相性、スペックの特徴を活かせる台数規模などを総合的に判断していくことが求められます。

新規則機に関しては、どの様なスペックがユーザーに支持され、スタンダード化していくかはまだ不透明な状況にあります。非常に頭を悩ませる、骨の折れる作業になりますが、地道に取り組んでいきたいところです。

※ 当サイトで使用しているホールや機械の画像はすべて許可を取り撮影し、掲載しております。

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この記事の著者

石野 晃
株式会社 矢野経済研究所
サービス産業事業部 上級研究員
2000年、(株)矢野経済研究所に入社。翌年より会員向け情報誌「パチンコパチスロ新機種情報」の編集業務に携わり、パチンコを中心とした機種分析を本格的開始。以降、アンケート調査業務や遊技機メーカーへの開発支援業務などを通じ、業界に様々な意見を進言している。
株式会社 矢野経済研究所
石野 晃
株式会社 矢野経済研究所
サービス産業事業部 上級研究員
2000年、(株)矢野経済研究所に入社。翌年より会員向け情報誌「パチンコパチスロ新機種情報」の編集業務に携わり、パチンコを中心とした機種分析を本格的開始。以降、アンケート調査業務や遊技機メーカーへの開発支援業務などを通じ、業界に様々な意見を進言している。
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