「2019年のギャンブル依存症対策」

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2017年頃より、「ギャンブル依存症」に対する世間での関心が高まり、2018年10月5日に「ギャンブル等依存症対策基本法」が施行されました。

パチンコ業界では、「ギャンブル依存症」が大きくクローズアップされる前から、リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)の支援、射幸心を煽る広告・宣伝の制限、出玉性能に関する内規や自主規制の制定など、依存防止のための様々な取組みが他のギャンブル産業に先んじて行なわれてきたのですが、政府の見解としては、この「基本法」施行がまさにスタート地点であり、依存症対策はまだまだ始まったばかりと言ったところです。

今回は、2019年に予定される「ギャンブル依存症」対策を挙げ、パチンコ業界に与える影響を検証したいと思います。

 

◆依存症対策のこれまでの推移

最初に、ぱちんこの依存症対策については、2017年3月に自民党が明らかにした「ギャンブル依存症対策の強化に関する論点整理」の中で、以下の5点が課題とされました。

 

・リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)の相談体制の強化及び機能充実。

・出玉規制の基準等の見直し。

・出玉情報等を容易に監視できる遊技機の開発・導入。

・営業所の管理者の業務として依存症対策を義務付け。

・業界の取組について評価・提言を行う第三者機関の設置。

 

これを受け、2017年中に

・依存対策の専門員として、「安心パチンコパチスロアドバイザー」を配置する(4月)。

・「風営適正化法施行規則及び遊技規則」の改正が公布される(9月)

・RSN支援室の対応時間を午後11時まで延長する(11月)

・自己申告プログラムの申告対象を遊技時間や遊技回数にも拡大し、家族からの申告を受け付ける。

 

といった取組みが実施されました。

 

現段階では、論点整理の中で指摘された課題のうち、「第三者機関の設置」を除く全ての項目で、課題をクリアするための仕組みが構築されたと言えます。

 

◆「ギャンブル等依存症対策基本法」の概要

その一方で、10月に施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」の中では、「ギャンブル等依存症対策推進本部の設置」「ギャンブル等依存症対策推進基本計画の作成」が規定されました。

このうち、「ギャンブル等依存症対策推進本部」については、同時に設置される諮問機関「ギャンブル依存症対策関係者会議」の意見を参考に「ギャンブル等依存症対策推進基本計画の作成」並びに「計画に基づく施策の実施の推進」「施策の実施状況に関する調査・分析・評価等」を行なう役割を負っています。また、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」は、PDCAを確保し、3年毎に更新されることとされています。

つまり、依存症対策は、3年毎に更新される「基本計画」を通じ、永遠に続けていかなければならず、規則改正を中心としたこれまでの取組みで完了した訳ではありません。仮にギャンブル依存症に対する新たな問題が発生した場合、今後は「ギャンブル等依存症対策基本法」という大きな枠組みのもと、より強力な取組みや厳格な規制を構築していくケースが想定されます。

恐らく、先の行政講和で指摘された「営業所内のATMの撤去」も遅かれ早かれクリアすべき課題の1つに挙げられるでしょう。

 

また、「ギャンブル等依存症対策基本法」の中では、ギャンブル関連事業者の事業の方法に関する検討事項として、以下の8点が掲げられました。

 

①公営競技の投票法、ぱちんこ機等の射幸性の抑制

②未成年者の入場制限の方策

③患者等に係る投票等の制限

④広告宣伝の在り方

⑤警告表示及び担当者の配置等の体制整備等

⑦ギャンブル依存症対策の費用負担

⑧ギャンブル関連事業者の事業の監督に係る行政組織の整備

 

この8つの項目を俯瞰すると、現在、各地区で実施されている来店系イベントを中心とした「広告・宣伝等に関する規制強化」もごく“自然な流れ”だったと言えるかもしれません。

例えば、2017年8月に発表された「ギャンブル依存症対策の強化について」の中では、競馬の広告の在り方の1つとして、「馬券購入を想起させる表現」「高額的中がある旨の表現」「射幸心を煽る内容」を用いないことが提示されています。「射幸性を煽る」という文言に着目すれば、今回の規制強化は「ギャンブル等依存症対策基本法」という観点からも遂行しなければならない課題と捉えることができるでしょう。

なお、今回掲げられた8つの項目については、「施行後の3年以内に必要な措置を講じる」ことが規定されています。

 

この様に、今後の「依存症対策」については、「ギャンブル産業全般」という広い視野に基づき、様々な規定が設けられると予測され、もはや「パチンコは大衆娯楽だから、公営競技の規制は適用されない」といった理論は通用しません。パチンコ産業だけでなく、公営競技全般が大きな変革を求められていることを踏まえ、これらの取組みに柔軟に対応していくことが求められます。

 

◆2019年に向けて

これまで、パチンコ業界では、組合の自主規制、行政の通達・要望という名目のもと、「射幸性の抑制」などの「依存症対策」が実施されてきました。2019年以降は「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」に基づいた対策が必要とされ、状況次第では、様々な分野で更なる規制強化を行なわなければならないケースも想定されます。

しかしながら、「ギャンブル等依存症対策基本法」という後ろ盾を得たことにより、これまで業界内でしか浸透していなかった「依存症対策への取組み」が対外的に広く知られ、パチンコ業界でも他の公営競技と同様の依存症対策を万全に実施していることを世間にアピールできます。その結果、どうしても負のイメージが拭えなかったパチンコ業界への見方が変わり、社会的認知の向上へと繋がっていくかもしれません。

 

その意味では、これからの依存症対策については、「業界のイメージが変わる」というポジティブな思考に基づき、自発的に取組むことが望まれます。

※ 当サイトで使用しているホールや機械の画像はすべて許可を取り撮影し、掲載しております。

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この記事の著者

石野 晃
株式会社 矢野経済研究所
サービス産業事業部 上級研究員
2000年、(株)矢野経済研究所に入社。翌年より会員向け情報誌「パチンコパチスロ新機種情報」の編集業務に携わり、パチンコを中心とした機種分析を本格的開始。以降、アンケート調査業務や遊技機メーカーへの開発支援業務などを通じ、業界に様々な意見を進言している。
株式会社 矢野経済研究所
石野 晃
株式会社 矢野経済研究所
サービス産業事業部 上級研究員
2000年、(株)矢野経済研究所に入社。翌年より会員向け情報誌「パチンコパチスロ新機種情報」の編集業務に携わり、パチンコを中心とした機種分析を本格的開始。以降、アンケート調査業務や遊技機メーカーへの開発支援業務などを通じ、業界に様々な意見を進言している。
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