「CRカイジHIGH&LOW」導入① ~2018後半におけるパチンコ営業の課題~

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先週、「CRカイジHIGH&LOW(高尾)」がホール導入されました。
確変状態「圧倒的RUSH」に突入すると、高性能のSUPER小当たりRUSHと16R大当たりが連鎖し、大量出玉を獲得できるという尖ったスペックが発売当初から話題となり、今回、1BOX単位での大量設置に踏み切った店舗もいくつか確認されました。2018年以降、目玉機種や話題機種が登場せず、新機種買い控えの風潮がますます強くなっていましたが、本機種の話題性や販売台数規模を踏まえると、4円パチンコ強化へ向けた大きな投資が久々に行なわれた様に思われます。
7月以降も大型タイトルや話題機種の導入が控えており、本機種への投資を良い流れへと持っていきたいところです。そこで、今回は、本機種の導入・稼働状況を踏まえ、これからのパチンコ営業の課題について、検証していきたいと思います。

◆導入状況
今回、都内繁華街にて「CRカイジHIGH&LOW(高尾)」の導入状況を視察したところ、半島程度の導入台数に止めた店舗と1BOX規模で導入した店舗のいずれかに分かれていました。
本機種においては、「圧倒的RUSH」に突入しない限り、出玉の恩恵をほとんど享受できないという、投機性が非常に高く、かつ打ちこめるユーザーを選別してしまうスペックを採用しており、自店客層とのマッチングにおいて、導入台数の二極化が進んだ様に見受けられます。
ただ、出玉感のアピールが集客や稼働における重要な鍵を握っていることもあり、大半の導入店舗では、メインエントランス付近や主軸機コーナーの一角にある、「箱積み」できる島に設置されていました。本機種の周辺には、「CR真・北斗無双」や「CR北斗の拳7転生」のほか、「CRミリオンゴッドディセント」「CR聖戦士ダンバイン」といった、高出玉・高継続のイメージが強い機種が隣接しており、高射幸性タイプの1つとして、投機的ユーザーやヘビーユーザーの流入を見込んでいた様子が窺えます。

なお、店頭や店内の販促物をついては、「●台導入」「2000個+α×50%」など、台数規模の大きさやスペックの特徴をアピールした見出しが一部確認されましたが、「新台入替」として、他の新機種と併記した販促が主体となり、趣向を凝らしたものは特段見受けられませんでした。

 

◆稼働状況
各店舗の集客・稼働状況を見ると、平日昼間というオフピークの時間帯だったことも影響したためか、常時満席を維持していた店舗は限られ、特に大量導入に踏み切った店舗での苦戦ぶりが目立っていました。話題機種の1つとして扱われていたものの、設置箇所周辺に見物客や空き台待ちの来店客が現われる状況までは構築できておらず、現段階では、物足りない結果に至っています。
これまで、「カイジ」シリーズはバリエーションやバラエティの1ラインナップという範囲内で実績を築き上げてきた経緯があり、BOX単位での大規模導入に耐え得る絶対的なファン数とブランド力をまだ確立できていないこともありますが、その他にも、苦戦を強いられている要因がいくつか考えられます。
ここからは、その要因を探っていきたいと思います。

 

要因①:スペックと遊技客層のミスマッチ
今回、40代前半までの中年男性を中心に、50代以上の中高年男性の遊技する姿が散見されました。また、女性層の姿も比較的多く、店舗によっては、女性比率が1割近くに達していた点も特筆されます。
一見すると、「CRカイジ」シリーズの登場から10年以上が経過したことに伴い、パチンコユーザーの間で認知度が上がり、遊技客層の裾野が広がっている様に思われますが、逆に捉えれば、本機種のコアターゲットとなる中年男性を満足に採り込めていない状況にあるとも解釈できます。さらに中高年層や女性層の中には、単なる新台の1つとして遊技しているユーザーも少なからずおり、投機性の高いスペックなども考慮すれば、本機種を継続的に遊技する固定客層になり得るかについては疑問が残ります。
この様に、今回の視察においては、本機種の狙うべきターゲットと実際の遊技客層との間でミスマッチが生じていることが判明しました。先ずはコアターゲットとなる30~40代男性の流入を意識することによって、このミスマッチを是正しなければなりません。本機種の場合、勝ちへの道筋が「圧倒的RUSH」突入の1点に限られ、遊技時間や予算に制約のある会社員層に運試しの様な勝負を促進できます。
夕方以降における集客や稼働の底上げにも注力し、中年男性層主体の遊技状況へとシフトしていく必要があります。

 

要因②:存在感を増す役物抽選タイプの脅威
今年1月に「CR天龍∞」が導入されて以降、ユーザーの間で役物抽選タイプへの注目が一気に高まり、複数の機種でコーナー化を推進する店舗も増えてきました。今回の視察でも、同コーナー内に「CR犬夜叉」をまとまった台数で導入していた店舗が相当数確認され、これまで「ニッチ」としての存在感が強かった役物抽選タイプが、パチンコの1ジャンルとしての地位を着実なものとし、集客ツールの1つとして機能していることが分かります。
しかしながら、その代償として、ハイリスク・ハイリターンの強い勝負感を求めるユーザーが役物抽選タイプへと流入し、出玉性能の高さや投機性の強さを特徴としたデジパチタイプの人気が伸び悩んでいる点は否定できません。恐らく、彼らの間では、「現在のデジパチは連荘しない」「余程の運がなければ大量出玉を獲得できない」など、連荘・出玉性能に不満を覚え、同じ金額を投資するのであれば、より大きな“勝ち”を夢見ることのできる役物抽選タイプの遊技を選択していることでしょう。
本機種についても、50%となる「圧倒的RUSH」を大量出玉獲得の大きなトリガーとし、投機的嗜好の強い30~40代男性の流入を見込んでいましたが、前述の通り、50代以上の中高年男性や女性層が遊技する姿が目立ちました。要因①で指摘した「コアターゲットとなる30~40代男性を十分採り込めていない」背景には、彼らが役物抽選タイプへと流動してしまっていることも十分想定できるでしょう。役物抽選タイプの台頭が、昨年にはなかった投機的ユーザーのバッティングと店内移動を新たに引き起こし、高出玉デジパチタイプの集客や稼働に少なからず影響を与えていることは事実と言えます。
ごく数年前までは、1つ上の投機性と出玉性能を備えたデジパチタイプが、若年~中年男性のヘビーユーザー層からマニア的に支持され、想定外の高実績を残すケースがありましたが、現在はその役割が役物抽選タイプへとシフトし、時代の移り変わりが改めて窺えます。

 

これらを踏まえると、今後のパチンコ営業においては、役物抽選タイプのコーナーの確立を目指す一方で、役物抽選タイプへ流出したユーザーを如何にデジパチタイプ、中でも高出玉・高射幸性を特徴としたミドルタイプへと回帰させるかを考えていくことも重要です。とは言え、デジパチタイプが役物抽選タイプの射幸性レベルを上回ることは難しく、出玉性能以外でのアプローチが求められます。
デジパチタイのメリットは「ユーザー層の間口の広さ」「投機性と娯楽性のバランス」にあります。ハイリスク・ハイリターンの勝負までは求めないというユーザーをコアターゲットとしつつ、「無理のない投資で演出を楽しめ、満足できる出玉を味わえる」ことを再確認させていった方が良いでしょう。

(明日後半の【営業課題②】へ続きます)

※ 当サイトで使用しているホールや機械の画像はすべて許可を取り撮影し、掲載しております。

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この記事の著者

石野 晃
株式会社 矢野経済研究所
サービス産業事業部 上級研究員
2000年、(株)矢野経済研究所に入社。翌年より会員向け情報誌「パチンコパチスロ新機種情報」の編集業務に携わり、パチンコを中心とした機種分析を本格的開始。以降、アンケート調査業務や遊技機メーカーへの開発支援業務などを通じ、業界に様々な意見を進言している。
株式会社 矢野経済研究所
石野 晃
株式会社 矢野経済研究所
サービス産業事業部 上級研究員
2000年、(株)矢野経済研究所に入社。翌年より会員向け情報誌「パチンコパチスロ新機種情報」の編集業務に携わり、パチンコを中心とした機種分析を本格的開始。以降、アンケート調査業務や遊技機メーカーへの開発支援業務などを通じ、業界に様々な意見を進言している。
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